2013年10月6日日曜日

赤竜 1 その23

 ソーントンの事件はお蔵入りしそうだったが、オーリーはまた二人の女性の許に出かけた。今度は新しい家 だ。事件現場となった屋敷に比べると小さかった。芝生の前庭とガレージと二階に部屋が一つだけの白い壁の家。彼が訪ねた時は夕刻だった。イヴェインは出か けて留守だったが、レインボウブロウが珍しく応対に出た。
「近所には私をイヴェインのボーイフレンドだと思わせておく。」
と彼女は彼を迎え入れながら言った。
「女性だけだと知られるより安全だろう。」
「彼女は何処へ行ったんだい。」
「クーパー弁護士と最後の打ち合わせ。今後の彼との契約更新も決まる。」
 イヴェインがいない方が話がし易い。レインボウブロウにはぐらかされないように、用心は必要だったが。
「どうしても、君の口から本当のことを教えてもらいたい。時間をもらえないか。」
 オーリーの言葉に、彼女は彼にソファを勧めた。前の屋敷にあったものよりモダンで近代アート的デザインで、しかも色は原色だった。座り心地は想像より良かった。
「家具付きだって。」
「そう、以前の住人の趣味。そっくり残しているところを見ると、飽きたらしい。」

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