2013年10月11日金曜日

赤竜 1 その26

「これには、悪魔たちの図鑑や邪道を書いた書物の紹介も載っている。」
 彼はオーリーにも見えるように、本を傍らの書き物机の上に広げた。
「死者を蘇らせるのは、最も忌むべき邪道だ。それを行えば、復活した死者は魂を失っていて生きていた時とは性格が異なり、邪悪な存在となる。」
「死んだ直後なら、救えますか。」
「そんなことは聞いたことがない。」
 フライシュマンはオーリーを睨んだ。
「私は本屋で、魔法の研究家じゃない。詳しく知りたければ、専門家を訪ねることだ。」
 魔法の研究家と名乗る人間は結構いた。しかしオーリーが「死者の復活」や「警察」と言う単語を出すと、話を断るか、切ってしまうのだ。まともな商売を やっている訳ではなさそうだ。本物の研究家ではないのだろう。最後に、ソーントンの骨董品屋仲間が魔法グッズを扱う店を紹介してくれた。彼がそこを訪ねる と言うと、ライリーが「好きにしなよ」と笑った。
「俺はカッスラーにソーントンの屋敷の解体許可が下りたと通告しに行ってくるよ。」
 えっとオーリーは驚いた。
「あの屋敷を解体するのか。」
「カッスラーが許可申請を出していた。殺人があった屋敷では売れないからな、更地にしてしまうんだそうだ。跡地を公園として街に寄付するって言うから、早い時期に許可が下りたんだ。」
 オーリーはクロゼットの奥の秘密の階段と秘密のプールを思い出した。工事中にあれが明らかになれば、みんな驚くだろう。イヴェインはあれの存在を知らな いのだ。あの場所はソーントンとレインボウブロウだけの秘密の場所だった。何の為にあんな場所にあんなものを造ったのだろう。それに、あの氷の様な冷たい 水。彼女はあそこに潜っていた。
あの女は魔女なのか。

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