2013年1月20日日曜日

お〜い! 夏だよ!

川村先生が右手に長靴、左手にデッキブラシを持って笑って言った。
「そっか、夏か!」
ボクもつられて笑った。

ボクらが勤務する学校は、毎年プール開きの前のプール掃除を新任教師がすることになっている。音楽の川村先生はボクと一緒に4月にこの学校に赴任 してきた。出身地も出身大学も教科も、そして年齢も違うけれど、ボクと妙に気が合った。プール掃除を新任教師がするのだと、着任早々に先輩から聞かされた 時、ボクらはある約束をした。

プールは校舎の横の松並木の向こうにあって、校舎からは見えない。よく晴れた土曜日の午後、ボクたちは女性教師3人と一緒にデッキブラシでプール内部を磨き、プールサイドを掃き、水を流し、更衣室を掃除した。
手の空いた先輩教師も数名手伝ってくれたので、2時間ばかりで終わった。
「ありがとうございました。後の水入れはボクたちでしますから。」
川村先生が丁寧に挨拶し、ボクも頭を下げた。
「そんじゃ、頼むわ。終わったら、私の机の右上の引き出しに入れておいてくれ。ちょっと時間がかかるから、終わったら帰ってもらっていいから。」
教頭がバルブの鍵を渡してくれた。

みんながいなくなると、川村先生とボクはプールに水を入れた。もの凄い勢いで水が噴き出し、プールに満ちていく。初夏の太陽の下で、水面がキラキラ光った。川村先生もボクも、辛抱しきれなくなった。
二人で更衣室に飛び込み、服を脱いだ。二人とも海パンだった!
生徒はいない。期末試験の前だから、部活が休みで全員よい子になって自宅で勉強しているはずだ。だから・・・。

 川村先生とボクは、子供に返ったみたいに水の中ではしゃいだ。入れ立ての水は思いの外冷たくて、あまり長く浸かっていられなかったが、掃除でかいた汗を流し、夏本番に向けてウォーミングアップのつもりで小一時間泳いだ。

 次の月曜日、ボクは「体調不良」で少し遅れて出勤した。川村先生も遅れてきた。二人で赤く腫れた手や腕を見比べ、皮膚科でもらった塗り薬を見せ合った。

新しい水を入れたばかりのプールで泳いだ後は、すぐにシャワーを浴びて塩素を落としましょう。

ドジな教師二人からのアドバイスです。

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