2013年11月9日土曜日

赤竜 2 その10

「ママに言いつけるぞ。」
 レインボウブロウが呟いた。
「ビール飲みたい。」
 ジルがドアから出ていった。
「警察の仕事も大変だと思うけど、妹の管理もしっかりやんなよ。」
 ドアが閉まった。オーリーが鍵をかけて戻ると、レインボウブロウは立ち上がって、台所に入って行こうとしていた。右手が脇腹を押さえているから、怪我は本当のことだ。
「俺に出来ることは。」
「バスルーム貸して。」
 彼女は冷蔵庫を開いて、バドワイザーの瓶を出した。栓をテーブルの角で抜いて、ラッパ飲みだ。どう言うべきかオーリーが考えていると、彼女が振り返った。
「早く寝たら。夕方からまた勤務でしょう。」
 また彼女のペースだ。オーリーは主導権を取りたかった。彼が「ご主人様」だと言ったのは彼女の方なのだ。
「寝る前に、君の報告を聞きたいね。海だか川だか知らないが、何か見つけたのか。それに、その脇腹の傷はどうした。」
 レインボウブロウは椅子を出して座った。
「川で穴を見つけた。例の工場の井戸に続いていた。中には何もいなかった。」
 彼女は一枚の靴べらに似た鱗を出した。
「穴から川に戻ったところで、岩に引っ掛かっていた。」
 オーリーは鱗を受け取った。ビニル袋に入れた鱗と比較すると、ぴったりだった。
「持ち主はいなかったのか?」
「いなかった。多分、川か海にいるのだろう。」
「何だろう。」
「知らない。」
「その傷はどうしたんだ。」
「パイプの角で引っ掛けた。」
 すぐ治る類の傷らしい。彼女は数ヶ月前に銃弾を2発食らったことがある。その時も2,3日で治ってしまった。オーリーは薬箱を出してテーブルに置き、寝室へ向かった。
「イヴェインに連絡してやれよ。明け方になっても君が帰らないのでは、心配するだろう。」

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