2012年12月8日土曜日

パキータさん

1.
某年某月某日

某国の某大学の医学部で実際にやりとりされた教授と学生の会話。

「今期の宿題として、人骨を一体分、組み立てて中間試験までに提出すること。
 骨は完全にそろっていなくてもよろしい。」

「先生、質問です。人骨は何処に行けば手に入りますか?」

「墓地に決まっているでしょう。
 墓地に行けば、セットで売っていますよ。」


2.
「ママ、墓地で骨買ってきたよ。
医大生セットで2,000ペソだって。」
「あら、汚い骨ね。誰の骨?」
「知らない。多分、寄せ集めよ。
歯科医大生セット とか、 標本セットとか、いろいろあったもの。
 ねぇ、提出する骨は真っ白でなきゃいけないんだって。
 ママ、この骨洗ってよ」
「どうして私が洗うの? 」
「だって、キッチンはママの場所だし、私は今夜書かなきゃいけないレポートがあるの。」




「ママ、骨がボロボロになってる!」
「ごめん、ハイターが多すぎたんだわ。
でも、大方、綺麗に白くなったんだから、我慢なさい。」
「はぁい、じゃ、これを組み立てるわね。」

3.
遂に立派な骨格標本が完成しました。

「折角、人の形になったのだから、これからは、”骨”と呼ぶのは止めようよ。」
「じゃぁ、何て呼べばいいのかしら?」
「もう名前、考えてあるの。
 パキータ
 って言うのよ。明日提出するわ。」




「ママ、試験、合格したわ。パキータのお陰よ」
「おめでとう。  だけど、どうしてパキータが、貴女の後ろにいるの?」
「だって、学校には必要ないじゃない。医大生全員が骨格標本寄付したら、学校は骸骨だらけでしょ。」
「それで、どうすの?」
「何が?」
「パキータよ」
 
4.
「うちには、金魚3匹、ねこ2匹、鼠多数に、娘2匹、だんな1匹いるのよ。
 ママは骸骨の面倒まで見られませんよ」
「パキータは何も食べないし、トイレ行かないし、出歩いて汚れたりしないから、世話かからないわよ」
「でも、お手伝いさんが間違えてスープ作るのに使っちゃたら困るでしょ。」
「その前に、気絶するかもよ」
「ゴミに出しても駄目よ。もし、警察が見つけて殺人事件だなんて思われたら、大変ですからね」
「う~~ん、元は複数の人間だからなぁ・・・大量殺人になるね」
「そんな次元の話じゃありません」


5.
「いっそのこと、うちのお墓に入れてしまおうか、パキータさん」
「ママとパパは構わないけど、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんは何て言うかしら。」
「そりゃ、駄目って言うに決まってるわ。」





「ママ、ママ、パキータのお嫁入りが決まったわよ!!」
「お嫁入り??」
「新入生が入学してきたから、売りつけたんだ!1,800ペソで交渉成立。」
かくして、骸骨標本のパキータさんは、ブエノスアイレス大学医学部の学生たちに代々(?)受け継がれることになりました・・・・・と言う話は聞かない。

-----終わり

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