秋が深まると、夜が明けるのが遅くなる。
夏だったらすっかり明るくなっている時刻でも、今時分はまだ真っ暗だ。
外出予定があったので、日が昇る前にゴミを出しに行った。
街灯が切れていて、道は暗いが、慣れた場所だ。それに田舎の小さな集落。
まず余所者は入ってこない。特に、こんな時間には。
集積所のそばの、公会堂の建物の陰は、いっそう暗く、闇が滞っていた。
その中に動く物を見つけ、一瞬ギョッとした。
向こうも立ち止まった。
小柄な老人の様に思えた。
「おはようございます。」
とこちらから声をかけると、向こうも、か細い声で、
「あ・・・おはようございます・・・」
すれ違う時に、かすかに向こうが呟くのが聞こえた。
「ああ・・・人だったんだ・・・」
どうやら、白いパーカーを着ていたので、幽霊にでも見えたのだろう、とおかしかった。
ゴミを所定の場所に置いて振り返ると、もうその人影は暗闇に融け込んで見えなかった。
家に戻りつつ、考えた。
「あっちの方角には、お年寄りがいる家はなかったよね・・・」
あるのは、真っ暗な林の中の、村の共同墓地だけだった。
夏だったらすっかり明るくなっている時刻でも、今時分はまだ真っ暗だ。
外出予定があったので、日が昇る前にゴミを出しに行った。
街灯が切れていて、道は暗いが、慣れた場所だ。それに田舎の小さな集落。
まず余所者は入ってこない。特に、こんな時間には。
集積所のそばの、公会堂の建物の陰は、いっそう暗く、闇が滞っていた。
その中に動く物を見つけ、一瞬ギョッとした。
向こうも立ち止まった。
小柄な老人の様に思えた。
「おはようございます。」
とこちらから声をかけると、向こうも、か細い声で、
「あ・・・おはようございます・・・」
すれ違う時に、かすかに向こうが呟くのが聞こえた。
「ああ・・・人だったんだ・・・」
どうやら、白いパーカーを着ていたので、幽霊にでも見えたのだろう、とおかしかった。
ゴミを所定の場所に置いて振り返ると、もうその人影は暗闇に融け込んで見えなかった。
家に戻りつつ、考えた。
「あっちの方角には、お年寄りがいる家はなかったよね・・・」
あるのは、真っ暗な林の中の、村の共同墓地だけだった。
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