顔を泥だらけにした女の子がいた。きちんとパーティー用の服装をしているのに、顔だけ汚れている。親はどうしたんだ、と思いつつ、注意した。
「ちゃんと鏡を見て綺麗にするんだよ」
夜のパーティーだから、子供はほとんどいなかったが、同伴してくる親もいない訳ではない。きっと子守が見つからなかったのだろう。
その子は10歳ほどに見えた。おめかししているのに、顔だけ汚れている。
「だって、鏡を見るの、怖いんだもの」
と言った。
「どうして?」
「怖いものが映るの」
「何かな?」
「おじさんなの」
要領を得ないので、その子を連れて会場を出て、トイレに行った。男子トイレに女の子を連れ込むのは、あらぬ疑いをかけられる恐れがあったので、入り口のドアを大きく開いたままで、子供を鏡の前に連れて行った。
「ほら、何も映っていないだろ・・・」
そこで、ボクは絶句した。
鏡の中に映っていたのは、ボク一人。ボクの前に立っている女の子は鏡の中にいなかった。
「ほら・・・」
女の子は鏡の中のボクを指さして言った。
「おじさんが映っているでしょ?」
ドアがバタンっと閉まった。
「ちゃんと鏡を見て綺麗にするんだよ」
夜のパーティーだから、子供はほとんどいなかったが、同伴してくる親もいない訳ではない。きっと子守が見つからなかったのだろう。
その子は10歳ほどに見えた。おめかししているのに、顔だけ汚れている。
「だって、鏡を見るの、怖いんだもの」
と言った。
「どうして?」
「怖いものが映るの」
「何かな?」
「おじさんなの」
要領を得ないので、その子を連れて会場を出て、トイレに行った。男子トイレに女の子を連れ込むのは、あらぬ疑いをかけられる恐れがあったので、入り口のドアを大きく開いたままで、子供を鏡の前に連れて行った。
「ほら、何も映っていないだろ・・・」
そこで、ボクは絶句した。
鏡の中に映っていたのは、ボク一人。ボクの前に立っている女の子は鏡の中にいなかった。
「ほら・・・」
女の子は鏡の中のボクを指さして言った。
「おじさんが映っているでしょ?」
ドアがバタンっと閉まった。
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