オーリーが目覚めて居間に入ると、レインボウブロウは既に起きていて、彼の為にコーヒーを入れてくれた。彼女自身は水、もしくはビールだ。彼が「お早
う」と言うと、彼女は「今日は」と訂正した。午後3時を過ぎていたから、確かに彼女が正しい。彼は席に着いた。レインボウブロウが「赤竜」を開いて、彼に
挿絵を見せた。
「こんな生き物を見たことがある?」
鱗を持った長い体の怪物が波を潜ってのたくっている絵だ。
「大ウミヘビだな。子供の頃に絵本で見たよ。」
「本当にいるの?」
「まさか・・・」
オーリーは笑ったが、彼女と視線が合うと、ハッとして笑うのを止めた。彼女は鱗があって、翼を持っている。
「いても不思議じゃないな。」
と彼は呟いた。
「その本の中の怪物や聖獣が本当にいない、と言う立証は誰もしていないんだから。」
絵の中の大ウミヘビには小さな翼があった。意味がない程小さな翼だ。
「君はその鱗が大ウミヘビのモノだと思うのかい。」
レインボウブロウはビニル袋の中の鱗と、新しい鱗を眺めた。
「我が一族のモノでないことは確かだ。」
と彼女が呟いた。彼女の一族が何者か、オーリーは尋ねたい誘惑にかられたが、我慢した。彼女は答えてくれないに決まっている。
「君はこんな生き物に出会ったことはないのか。」
レインボウブロウは彼女自身に少しでも関係する質問には、必ず簡潔に答える。この質問も同じだった。
「ない。」
そして時計を見た。
「イヴェインの家に帰る。」
と彼女が言った。
「たまには、彼女と夕食を一緒にしよう。あなたは、仕事なのか?」
「夜中から仕事だ。夕食くらいなら、つきあえるけど。」
「では、これから行こう。」
それは、つまりのところ、車に乗せていけ、と言う意味だった。オーリーはシャワーを浴びて、服を着替えた。バスルームはレインボウブロウが使ったはずだったが、綺麗なままだった。むしろ、昨日より綺麗だ。彼女は自分の場所を掃除したに違いない。
途中のスーパーマーケットで、買い物をした。と言っても、彼女はお金を持ち歩かないので、オーリーが支払いをしたのだが、ピザと果物とチョコレートケー キを買っただけだったので、大した額ではなかった。どっちが「ご主人様」なのだろう、と疑問を感じつつ、オーリーは紙袋を抱えて、レインボウブロウの後ろ に付いてイヴェイン・カッスラーの家に入った。
イヴェインはまだ帰っていなくて、レインボウブロウは素早く室内を片づけ、食堂に夕食の準備を整えた。オーリーは果物を盛りつける役目だった。女主人が帰宅した時には、どうにかホームパーティーの体裁が出来ていた。
イヴェインはレインボウブロウに抱きついてキスをしたが、オーリーには握手だけだった。いつになれば、気を許してくれるのだろう、と彼はスローテンポの恋に苛ついた。
「仕事は楽しいかい。」
当たり障りのない会話が続き、やがてイヴェインが同僚の話を始めた。男性だ、とオーリーが意識した時、彼女はレインボウブロウに言った。
「こんな生き物を見たことがある?」
鱗を持った長い体の怪物が波を潜ってのたくっている絵だ。
「大ウミヘビだな。子供の頃に絵本で見たよ。」
「本当にいるの?」
「まさか・・・」
オーリーは笑ったが、彼女と視線が合うと、ハッとして笑うのを止めた。彼女は鱗があって、翼を持っている。
「いても不思議じゃないな。」
と彼は呟いた。
「その本の中の怪物や聖獣が本当にいない、と言う立証は誰もしていないんだから。」
絵の中の大ウミヘビには小さな翼があった。意味がない程小さな翼だ。
「君はその鱗が大ウミヘビのモノだと思うのかい。」
レインボウブロウはビニル袋の中の鱗と、新しい鱗を眺めた。
「我が一族のモノでないことは確かだ。」
と彼女が呟いた。彼女の一族が何者か、オーリーは尋ねたい誘惑にかられたが、我慢した。彼女は答えてくれないに決まっている。
「君はこんな生き物に出会ったことはないのか。」
レインボウブロウは彼女自身に少しでも関係する質問には、必ず簡潔に答える。この質問も同じだった。
「ない。」
そして時計を見た。
「イヴェインの家に帰る。」
と彼女が言った。
「たまには、彼女と夕食を一緒にしよう。あなたは、仕事なのか?」
「夜中から仕事だ。夕食くらいなら、つきあえるけど。」
「では、これから行こう。」
それは、つまりのところ、車に乗せていけ、と言う意味だった。オーリーはシャワーを浴びて、服を着替えた。バスルームはレインボウブロウが使ったはずだったが、綺麗なままだった。むしろ、昨日より綺麗だ。彼女は自分の場所を掃除したに違いない。
途中のスーパーマーケットで、買い物をした。と言っても、彼女はお金を持ち歩かないので、オーリーが支払いをしたのだが、ピザと果物とチョコレートケー キを買っただけだったので、大した額ではなかった。どっちが「ご主人様」なのだろう、と疑問を感じつつ、オーリーは紙袋を抱えて、レインボウブロウの後ろ に付いてイヴェイン・カッスラーの家に入った。
イヴェインはまだ帰っていなくて、レインボウブロウは素早く室内を片づけ、食堂に夕食の準備を整えた。オーリーは果物を盛りつける役目だった。女主人が帰宅した時には、どうにかホームパーティーの体裁が出来ていた。
イヴェインはレインボウブロウに抱きついてキスをしたが、オーリーには握手だけだった。いつになれば、気を許してくれるのだろう、と彼はスローテンポの恋に苛ついた。
「仕事は楽しいかい。」
当たり障りのない会話が続き、やがてイヴェインが同僚の話を始めた。男性だ、とオーリーが意識した時、彼女はレインボウブロウに言った。
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