2012年9月12日水曜日

記憶喪失

章は昔から身勝手な記憶喪失に陥ることで有名だった。
普段は記憶力の良い男なのに、兎に角自分に都合の悪いことや嫌なことはすぐに忘れるのだった。
だから、章がある殺人事件に巻き込まれた時、彼の証言を期待した刑事達は失望させられた。

「どうしても思い出せないって言うのか?」

「ええ、駄目みたいです。嫌なものを見てしまったので、即行でそこの時点だけ記憶を削除しちゃったみたいで・・・」

「困った男だな。」

「そうですね、事件の当事者なのに・・・」

「彼の今の立場だったら包み隠さず喋ってくれると思ったんだが・・・」

「犯人はそこで彼の霊に手を合わせて告白してるんですからね。被害者がそれを裏付ける証言をしてくれると期待したのに・・・」

「なんで幽霊になってまで、物忘れするんだよ!」

1 件のコメント:

  1.  章ぁ、死んでも記憶なくなるんかぁ!? 脳みそ、無いんだけど。
     でも幽霊として出てくるのね。いまいち、彼の基準が分からないです。こだわらないタイプ?

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