2015年6月18日木曜日

ちどりや


多分、「千鳥屋」と漢字で書いていたのだと思いますが、私の記憶の中では漢字の看板はないのです。
垂水区の県道、垂水東口から名谷に行くバス道の山側に、石垣やコンクリートの壁が続くところがあります。
「クラブ前」と「千鳥が丘下」のバス停の間の区間です。
この壁と言うか、元は崖だったのかも知れませんが、そこにガレージみたいに穴を開けた様な店舗がありました。
駄菓子、パン、アイスクリーム などの店、と私は認識していましたが、今思い出してみれば魚の干物や豆腐やちょっとした調味料なども置いていたみたいです。
狭い店で、おばちゃんが一人で店番をしていました。
客の多くは子供だったと思いますが、駄菓子屋ではありませんでした。
我が家はこの店で食パンを買い、子供がお手伝いをするとご褒美にアイスを買ってもらえる店でした。
夜はシャッターを下ろしていたと思います。
店の前は県道で年々交通量が増えて危険になり、小学校では「歩道のない道は通ってはいけません」と指導していましたから、「ちどりや」にとって辛い時代になっていったことでしょう。


小学校の3年生の頃でしたか、福田側の東側に「川原センター」と言う商店街のミニ版が出来ました。
垂水の廉売市場よりは貧相な、でも店舗が数軒並んだ、住宅街では画期的な場所です。
「ちどりや」は、それを機会に閉店しました。
「これからは川原センターでお買い物して下さい」と言う意味の貼り紙がしてあったそうです。
千鳥が丘や福田町から川原センターは遠いので、私達は大いに不満でしたが、店の決心は固かったのです。
もしかすると、おばちゃんはもうお歳で、新しい店に対抗する気力がなかったのかも知れません。

「ちどりや」は、私が初めてお金を握りしめて自分でお買い物をしたお店でした。

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